ブリジット・バルドーの自伝、『イニシャルはBB』を読んだとき、最初の結婚相手だったロジェ・ヴァディムのことが、強烈に印象に残った。
バルドーと結婚するとき、彼はまだ映画は撮っておらず、海のものとも山のものともつかなかった。
2人は結局、別れてしまうのだが、その後も付き合いは続いており、互いに相性は一番良かったのではないか。
ロジェ・ヴァディム、いったいどんな人だったのだろう。
というわけで『我が妻 バルドー、ドヌーヴ、J・フォンダ』を読む。なお3人の美人スターのほかに、バルドーの次にアネット・ストロイベリと結婚している。4番目のジェーン・フォンダの後にも、結婚を繰り返しているが、そこはほとんど記述がない。
ロジェ・ヴァディムと3人の妻のことを読む前に、彼が監督した映画を挙げておく。
『素直な悪女』
『大運河』
『輪舞〔ロンド〕』
『獲物の分け前』
『世にも怪奇な物語』
『バーバレラ』
『花のようなエレ』
ほかにも『危険な関係』や『血と薔薇』などいろいろあるが、僕がむかし聞いたことのあるのはこのくらいだ。このうち見たのは『素直な悪女』『大運河』『輪舞〔ロンド〕』『世にも怪奇な物語』だが、それもすべてテレビで、内容は見事に忘れている。僕の頭の中では、ロジェ・ヴァディムは大した監督ではなかった。
前置きはこのくらいにしておこう。まずはブリジット・バルドーから。
「セックス・シンボルという輝かしいイメージ」は、彼女の一面でしかない、とヴァディムは言う。
「彼女がどんな不安、どんな恐れに苦しんだか、彼女には不幸への素質があって、そのために何度も悲劇の瀬戸際までいったことはあまり知られていない。」
そういう彼女の隠れた一面を、受けとめることができたから、2人は結婚したのだ。
バルドーに会う前、ヴァディムはロンドンで、ミステリー映画『ブラックメイル』のシナリオの仕事をしていた。
そのとき会員制のクラブのショーで、映画の役にぴったりだと思う娘に出逢った。
「娘は銀箔を散らした水着をつけ、背骨の根元に駝鳥の羽を三本立てて舞台に立っていた。美しく台詞にもユーモアと魅力があった。」
プロデューサーにそう言ったのだが、彼は、映画のスポンサーの愛人を採用した。
舞台でショーに出ていた娘は、オードリー・ヘップバーンといった。
またブリジット・バルドーに会う直前、パリ・バレエ団のレスリー・キャロンと仲良くなっている。レスリー・キャロンはそのとき、ジーン・ケリーの『巴里のアメリカ人』の相手役に採用された(この本では『パリのアメリカ人』だが、これは間違い)。
彼女はハリウッドに渡り、『巴里のアメリカ人』を撮りながら、ヴァディムが来るのを待っていた。
けれども彼は、アメリカには行かなかった。
「レスリーの手紙が届く一ヵ月ほど前に、私はブリジット・バルドーと知り合ったのだ。私は自分がレスリーに抱いた愛情や友情、そして肉体的欲望(私たちはキスし合っただけだった)が、恋ではないことを知った。」
レスリー・キャロンは『巴里のアメリカ人』、『リリー』が有名だが、そのあとで撮った『哀愁物語』が素晴らしかった。戦争を挟む男女の出会いと別れ、そして再会。役名の「ギャビー」という名を、50年以上前なのに覚えているくらい、夢中になった。
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