あの人の噂――「燃えよ、棋士たち! 将棋特集2021――『週刊文春』12月31日/1月7日」(1)

新聞で『週刊文春』の半5段広告を見て、女房に、すぐにコンビニに走ってもらった。
 
全部で23ページの将棋特集で、週刊誌としては驚くほど充実している。

目次は次の通り。

  萩本欽一×先崎学

  杉本昌隆ー師匠が語る藤井聡太二冠「覚醒」の2020年

  藤井聡太の強さ 7つの秘密

  藤井時代の注目棋士たち

  勝負師の妻が明かす「棋士の素顔」

  作家エッセイ 将棋の魅惑
    ー柚月裕子、塩田武士、葉真中顕、朝吹真理子

  阿川佐和子のこの人に会いたい
    ー渡辺明名人&伊奈めぐみ

どうです、なかなかのものでしょう。もちろん重要な点は、藤井聡太が登場していないことである。みんなでよってたかって、藤井聡太のうわさ話をしているのだ。
 
ふつうこういうのは隔靴掻痒、いい加減にしろよとなる。でもそれが、そうではない。藤井二冠の噂話は、とてつもなく楽しいのだ。これは一体どういうことか。
 
しかしその前に、それぞれの記事を読むと、また別の感慨も湧いてくる。
 
最初の先崎学と萩本欽一の対談。萩本の「藤井くんの物語には惹きつけられるものがある。その一方で迎え撃つ側の羽生さんに対して、いま、同世代の棋士としてどんな思いがあるのかも気になるところだね」というのに対し、先崎はこう返す。

「正直に言えば、とても居たたまれないような気持ちがあります。戦うことを諦めれば楽になれるけれど、この世界では諦めてしまうとどこまでも落ちていく。だから、五十歳くらいになると本当にキツイ。」
 
目の肥えた人なら、どちらに焦点を当てなければいけないか、分かっていることだ。先崎はこういうのだ。

「羽生さんの苦しむ姿は、『将棋指しとは何か』をまさに具現化しているように見えます。」
 
私たちは本当は、ここから先の羽生を、目に焼き付けなければいけないのだ。
 
でもやっぱり、僕のようなミーハーの将棋ファンとしては、藤井聡太のことが気にかかる。だってそちらの方が、心が沸き立つんだもの。
 
次の杉本昌隆師匠の2020年総括は、例によって藤井と渡辺明の棋聖戦第二局、「5四金」と「3一銀」の話で盛り上がる。これはもう話芸の世界だねえ。

将棋を指さない人には、まったく分からない話だが、将棋を指す人にとっては、何度聞いてもうっとりしてしまう話だ。

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