どういうふうに考えるか?――『地球が燃えている――気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』(4)

この本の中頃で、ナオミ・クラインは決定的なことを言う。これはできれば、聞きたくない事柄だ。

「都市部の住人や裕福な国の住民は、歴史的に化石燃料と密接に結びついて発展した産業プロジェクトの産物であること、そして長い歴史の中では、デジタル技術によって一瞬だけ輝く超新星のような存在であることを認識すべきなのだ。」
 
結局、時間を長く取っても、イギリスの産業革命から、この先あと十年(2030年)で終わる、化石燃料を中心とする文明の繁栄は、過ぎてみれば一瞬のことと言えそうである。
 
しかし巨視的に描いてみれば、こういうことなのかもしれないが、では実際に、それに即して現実を組み替えていくとなれば、途方に暮れる。
 
世界に目を向ければ、その途方は本当に、本当に限りなく大きな途方だ。

「二〇〇三年にイラクへの違法な侵略と占領をおこなったのも、英米の新たな共同事業だった。この二つの干渉による残響が、いまだに私たちの世界を混乱させている。首尾よく彼らからもぎ取った石油を燃やし続けていることも、同じように世界を混乱させている。中東は現在、化石燃料の追求が引き起こした暴力と、その化石燃料を燃やすことによる影響との、二つの圧迫要因によって挟み撃ちにされている。」
 
一体どうしたらいいんでしょうか。こういうことは良くないと、声を上げるしかないけれど、それにしても個人の声はあまりにも小さい。

「これらすべてから学ぶべきもっとも重要な教訓は、気候危機への対処はテクノクラートに任せて、それだけ切り離して解決できるものではないということだ。それは緊縮財政と民営化、植民地支配と軍事拡張主義の文脈において捉えねばならない」。
 
そういうことなのだが、しかし手を広げていくと、ますます取っ散らかって、収拾がつかなくなりはしないかとも思う。
 
しかし時代は、その先を行っているのだ。

「正真正銘の石油国家であるアラブ首長国連邦でさえ、石油時代の終わりに備えて、石油から得た数百億ドルの富を再生可能エネルギーへの新しい投資に注ぎ込んでいるのです。」
 
世界常識は、そういうことになっているらしい。
 
地球の平均気温を、2℃上昇させた場合の損失は、全世界で69兆ドルとなるとIPCCは言う。
 
こういうものは、正確には予想しがたい。しかしそれでも菅総理は、2030年の半ばには、ガソリン車を全廃にすると言い出した。

これはトヨタ社長のあずかり知らぬことだったらしく、すぐに記者会見をして、そういう文明の転換点になるようなことは、民間企業に言われてもどうしようもない、政府が金を出して、率先してやらなければどうしようもないことだ、と反論した。
 
これは大きな問題であったが、メディアは大きくは取り上げなかった。ナオミ・クラインを読んでいる記者は、どこにもいないのだろう。
 
このことと、たとえばここ数年の大災害が、直接結びついていることは、日本ではほとんど気にもされていない。

(『地球が燃えている――気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』
 ナオミ・クライン/訳・中野真紀子・関房江、大月書店、2020年11月16日初刷)

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