濃厚な香り――『市場界隈ー那覇市第一牧志公設市場界隈の人々ー』(1)

『本の雑誌』4月号の「特集 さようなら、坪内祐三」に、いろんな人が追悼文を書いている中に混じって、橋本倫史という人が、「神経のふれかた」というタイトルで、坪内さんの気難しいところを、うまく描いていた。
 
その文章が丹念でよかったことは、このブログでも書いた。
 
名前を知らない人で、心に残る人は、本が出ているならば、読んでみたいと思うじゃないですか。
 
それで去年5月に出た、『市場界隈ー那覇市第一牧志公設市場界隈の人々ー』を読んでみた。
 
こういうときは、まず奥付の著者紹介から。

「1982年広島県東広島市生まれ。2007年『en-taxi』(扶桑社)に寄稿し、ライターとしての活動を始める。同年にリトルマガジン『HB』を創刊。以降『hb paper』『SKETCHBOOK』『月刊ドライブイン』『不忍界隈』などいくつものリトルプレスを手がける。2019年1月『ドライブイン探訪』(筑摩書房)を上梓。」
 
僕には『en-taxi』以外は、ちんぷんかんぷんだ。
 
とにかく中身を読んでみよう。
 
3部だてで、第一牧志公設市場と、その界隈を取材している。
 
目次を挙げれば、「Ⅰ 上原果物店、上原山羊肉店、美里食肉店、長嶺鮮魚、道頓堀、山城こんぶ店、大城文子鰹節店、照尚、ウタキヌメー、平田漬物店、コーヒースタンド小嶺  Ⅱ ザ・コーヒー・スタンド、市場の古本屋ウララ、玉城化粧品店(牧志公設市場雑貨部)、赤田呉服店(牧志公設市場衣料部)、国吉総合ミシン、すみれ服装学院、嘉数商会、宮城紙商店、もちの店やまや  Ⅲ 大和屋パン、喫茶スワン、大衆食堂ミルク、バサー屋、大洋堂、にしきやおみやげ店、金壺食堂、ゲストハウス柏屋、足立屋、肉バル 透」、それに巻末に、粟国組合長との対談が入っている。
 
一編はそれぞれ短いものだ。
 
なぜ第一牧志公設市場とその界隈を、取材しようとしたかと言うと、もうすぐ市場は消滅するのだ。
 
第一牧志公設市場は、2019年6月16日に営業を終了し、同じ場所に建て替えになった市場は、2022年春にオープンの予定である。
 
店はそれまでの間、別の場所で営業している予定だ。
 
牧志公設市場が開設されたのは、戦後すぐの1950年のことで、それが建て替えで、いったん終わるのは惜しいと思ったから、取材をしたのだ。

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