これからの日本の指針――『ふたつの日本ー「移民国家」の建前と現実ー』(4)

「技能実習生」の問題は、深刻である。

テレビや新聞を見れば、ここ数日は、「令和元年」で踊り浮かれているようだが、国内でおおぜいが「失踪」し、秘かに日本で働き続ける「技能実習生」のことは、すぐにも表に浮上させるべき話だ。

そもそも、2017年11月に施行された技能実習法では、技能実習の目的を、こう定義していた。

「人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術または知識の移転による国際協力を推進することを目的とする」
 
法律の条文なので、意味がわかりにくいが、つまりは先進国である日本から、発展途上国への、技能の移転による国際協力である。
 
外国人は、派遣された職場で、職業教育を身に着け、その技能を持ち帰り、自国の発展に生かしてもらうということである。いってみれば、ODAの位置づけに近い。
 
しかしこれは、まったくの建前、虚構である。
 
技能実習生は、表では受け入れを認めていない、低賃金の出稼ぎ労働者を、受け入れるための、方便として機能してきた。

「地方にある工場や、日本人労働者を採用しづらい重労働かつ低賃金の職場にとって、この制度は労働者を継続的に獲得して事業を維持していくために必用不可欠なシステムとなってきた。」
 
その結果、どこにいても、働く外国人を見ないことはない、という事態になった。

「実習生が特に多いのは、食品製造、機械・金属、建設、農業、繊維・衣服などの第一次及び第二次産業である。」
 
しかしもちろん、先にも述べたように、この労働環境は本当にひどいものだ。

「長時間労働、最低賃金違反、残業代の不払い、安全や衛生に関する基準を下回る職場環境、暴力やパワハラなど……」。
 
厚生労働省が、2017年に行なった、全国約6000の事業場の監督指導では、その7割以上で、労働基準法違反が認められた。

なんと、7割以上でっせ!。
 
これでは、日本の経営者は、血も涙もない人種だということになる。たぶん「経営者」になった瞬間から、十人中七人は、人格が変わって、「有能な経営者」になるのだろう。
 
技能実習生が、徹底的に弱い立場にあるのは、日本に来て、職場を自由に変われないことにある。

「通常の労働者には悪質な事業者や相性の悪い職場を去って別の職場を探すための自由があるが、実習生にはその自由がない。たまたま割り当てられた企業に残るか、帰国するかという選択になり、それ以外の選択肢がない。」
 
けれども、たとえばベトナムの技能実習生であれば、たいていは日本へ来るために、莫大な借金をしているために、帰国の選択肢も無くなってしまう。

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