これからの日本の指針――『ふたつの日本ー「移民国家」の建前と現実ー』(2)

まず最初に、はっきりさせておくべきことがある。

「この国にも『移民』が存在し、取り組むべき『移民問題』が存在する。日本は『遅れてきた移民国家』である。建前と現実の乖離を、そろそろ終わりにするべきではないだろうか。」
 
これが著者の大前提である。
 
そのことを前提として、「今この本を手に取る市井の人々に必要なのは全体像だ。」なるほど。
 
いま政府は、人手不足に苦しむ産業界からの要請に応じて、外国人労働者を、さらに拡大して受け入れようとしている。
 
しかし一方で、政府は、馬鹿の一つ覚えのように頑なに、これは移民政策ではない、と言っている。
 
こういう建前と本音が、極端に乖離すれば、どうなるか。

どうにもならない。ただ労働力を提供する外国人が、不足していくだけである。

日本人の労働人口は、減っていくばかりなのだ。これは何とかしなければいけない、と産業界は考えた。
 
それが昨年秋の、入管法改定となって表れた。
 
それまでは、「技能実習生」という名の労働者は、最長5年の在留期間の後に、帰国させていた。その間、家族を呼び寄せることもできなかった。
 
安価な労働力だけ、持ってくればいいのだ。それ以外はいらない。定住なんて、とんでもない。5年たったら必ず帰ってくれ。
 
それが、劇的に変わった。変わらざるを得なかったのだ。
 
入管法改定の後、2019年4月に新設される「特定技能」は、ある段階まで進むと、「技能実習」や「留学」の後も、日本に残って職に就くことが可能になる。
 
それだけでなく、「特定技能」2号まで進むと、家族を呼ぶことも可能になり、さらに年数を重ねることによって、永住権の取得も可能になってくる。
 
しかしこれは、まだ絵に描いた餅である。
 
日本政府は長らく、外国人労働者を、「いわゆる単純労働者」と、「専門的・技術的分野の外国人」に二分し、そのうえで、前者は受け入れずに、後者だけを受け入れる、というスタンスでやってきた。
 
これはもちろん建前であって、本音は全く違う。現実には、「専門的・技術的分野の外国人」は、2割に過ぎない。
 
実際には、技能実習生や留学生などが、事実上の労働者として、低賃金、非熟練の職に就き、日本の「非正規労働市場」の一部を構成してきたのだ。

「技能実習生に至っては、最低賃金違反などの悪質な事例も数多く指摘されており、非正規雇用の中でもより一層下位のレイヤーへと組み込まれている。」
 
技能実習生の問題は、深刻極まりなく、そして緊急を要する。

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