ホームドラマはテレビでたくさん!――『すぐ死ぬんだから』

これは、途中までは抜群に面白い。

今年78歳になる婆さんが、「六十代に入ったら、男も女も絶対に実年齢に見られてはならない」、をモットーに、どこへでも出しゃばって、周りの讃嘆を独り占めにする話だ。

「年を取ったら『見た目ファースト』。くすんだバアサンなんて大嫌い!」という帯の文句が、実に小気味いい。
 
さすがに内館牧子は、通俗(の極み)小説でも、じつにツボを心得ているなあ、と思ったのだけれど、小説のちょうど半ばまで来て、亭主がコロッと死んでからは、たちまち失速、もうどうにもなるものではない。
 
死んだ亭主にお決まりの女がいて、これが女医で、ひとりむすこを、認知もされないのに、けなげに育てている。もちろん女医は颯爽としていて、その一人息子は極めて優秀。
 
亭主が死んだ後で、それを知ることになる若作り婆さんは、最初は烈火の如く怒るが、だんだんに、二号とその息子を許すようになる。
 
これで予定調和では、本当にどうしようもない。
 
途中、若作り婆さんと嫁の、「ブス」をめぐる会話がある。

「『一番最低はね、頑張らないブス。わかる? 同じブスなら、頑張らないブスが最低』
 私は『それはアンタだよ』と言うように、しっかりと由美〔=嫁の名〕を見た。
『お義母様、私もブスだからわかるんですが、頑張るブスは痛いだけですよ。同じブスなら頑張らない方が笑われません』
『そうかもね。ま、ブスそれぞれでいいんだよ。しょせん、頑張るブスは痛いって笑われて、頑張らないブスは貧乏くさいって笑われてんだからさ。どっちみち笑われるなら、本人の好きがいいよ』」
 
ホームドラマ仕立ての、ちゃちな、安い道具立てのなかに、妙にリアルな話が出てくる。これは内館牧子が、自分で血と涙を流しながら書いていると思われる。

(『すぐ死ぬんだから』内館牧子、
 講談社、2018年8月21日初刷、9月20日第2刷)

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