よくわからん――『世界経済 危険な明日』

河村小百合という人が、東京新聞に毎週一回、経済コラムを書いている。
 
僕は、経済の世界は門外漢だが、その僕に分かった限りで、河村小百合は実に面白い。

安倍首相や、日銀の黒田総裁を相手に、何よりも赤字国債をどうするかという点で、真っ向から論戦を挑んでいる(もっとも向こうは、相手にしてないように見えるけど)。
 
その河村さんが、少し前のコラムで、この本を挙げていた。

「成長か、崩壊か。命運を分かつ『T字路』に備えよ!」というのが帯の文句。「世界屈指のエコノミストによる警告/ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー!」とも書かれている。
 
こりゃあ面白いぞ、と誰でも思うでしょ。でも、そうでもない。
 
一つは、僕がまったく経済音痴のせいで、経済書を読んでもよく分からないせいだが、もう一つは、翻訳のせいもあるのではないかな。
 
いま世界は、T字路に差しかかっている。その二つの道のうち、一つは活発な経済成長や金融の安定を約束するものだが、もう一つはそれとは対照的に、「経済成長のさらなる鈍化、周期的な景気後退、金融のサイドの不安定化」をもたらすことになるだろう。
 
そのT字路から、どんな道が続いているかは、世界の主要な中央銀行(日本で言えば日本銀行)の過去、現在、未来を、よく考察することであるという。
 
ところが、その具体的な考察が、よくわからんのですね、情けないことに。

「中央銀行は、世界の経済と金融の間により適切な機能的関係を築くことが現世代にも将来世代にも重要であることを認識し、世界的な金融危機以降、時間を稼ぐために従来の枠を超えて活動してきた。」ところが、その活動の内容がよくわからない。
 
訳がこなれていないのは、たとえば次のところ。

「本章を締めくくる最後のポイントは、技術進歩がきわめて多くの個人や集団を魅了し、彼らに力を与えている世界をうまく管理するには、賢明(スマート)なコミュニケーションを責任をもって実現させることがもっとも重要だということである。」
 
これはまだ、試訳の段階だろう。編集者が、もう少し積極的に、介入しなければ。
 
河村小百合さんは、これを原書で読んでいる可能性があるので、推薦したのを、いけなかったとは言えない。
 
そういうわけで、今度は河村さんご自身の本、『中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音』を読もうと思っている。

(『世界経済 危険な明日』モハメド・エラリアン/久保恵美子訳、
 日本経済新聞出版社、2016年10年25日初刷)

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