なぜ好況感がないのか?――『アベノミクスによろしく』

これはアベノミクスのカラクリを徹底的に暴いたということで、東京新聞は「大波小波」で取り上げ、「こちら特捜部」でも大々的に取り上げられていた。

それだけではなく、WEBRONZAの「神保町の匠」でも、非常に魅力的なものとして取り上げていた。評者は堀由紀子さんで、僕はこの人の書くものは注目している。

その堀さんが、圧倒的にわかりやすい本で、しかもアベノミクスのインチキを、くらくらするほど完膚なきまでに暴いている、と書いたのだ。これは是非とも読まねばなるまい。

というわけで読んでみたが、結論を先に言うと、七割くらいしか分からなかった。堀さんは、経済オンチの私でもどんどんわかると書いたけれど、僕の場合は、脳出血の後遺症で、高次脳機能障害が治っていない。それで経済用語が三つ出てくると、最初の説明を忘れてしまう。

でもこれはひょっとすると、脳出血になる前から、経済の本は分からなかったのかも知れない。だから詳細な書評はできない。それでも、読んでいるときは七割方は分かって、そして結論の部分では、なるほどと思った。対話体の本で、こう書かれている。

「太郎 物価目標を達成できないままなら、延々と現実逃避を続けることが可能ということね。なんか今の日本て、いつ割れるかわからない薄い氷の上を歩いているような状態なんだね。
モノシリン うん。正直言って、この金融緩和を何の経済的混乱もなく終わらせる手段は思いつかない。かといって、ずっと続ければ円の信用が突然失われる可能性もある。」
 
つまり進むも地獄、退くも地獄なわけだ。金融緩和というのは、そもそも一国を巻き込む壮大な現実逃避であり、これは原発の再稼働で、40年をさらに延長し続ける心性と、まったく同じものなのだ。

(『アベノミクスによろしく』明石順平、インターナショナル新書、2017年10月11日初刷)

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