戦争のこんな叙述の仕方が――『これが「帝国日本」の戦争だ』

この本は、第二次大戦を日本の側から描いて、非情に優れている。
日本が侵略する側に立ったことも、攻撃される側に立ったことも、どちらも良く描けている。
もちろん視点は、庶民の目である。

見開きごとに1つのトピックを立て、右ページに文章、左ページに写真を配する。
その本文の叙述の仕方と、写真とが合っているのだ。たとえば

「『私は恥ずかしながら慰安婦案の創設者』と岡村寧次陸軍大将。上海派遣軍の参謀副長時代に、当地の海軍にならって長崎県知事に要請して『慰安婦団』を招いたと述べている。
 ・・・・・・陸軍省課長会議(昭和十七年九月)では恩賞課長が『北支100ヶ所、中支140ヶ所、南支40ヶ所、南方100ヶ所、南海10ヶ所、樺太10ヶ所の計400ヶ所をつくった』と報告」

という本文に対して、左ページに「朝鮮人女性の慰安婦」「米軍に保護された慰安婦」の写真が載るといった具合。文章と図版による、こういう戦争の叙述の仕方を、僕は知らない。

ただ装幀がよくない。本文紙も、ざら紙のようでよくない。これでは、最初から興味を持つ人以外は、興味を示さない。私たちの日常が、そのまま戦争に繫がっていることを示すには、まったく別の装丁でないと。

言っちゃあ悪いが、これはそんなに売れたものではあるまい。もう一度、中身を少し作り変え、本文紙を上質に変え、装幀もがらりと変えれば、売れる目はあるのではないか。

(『これが「帝国日本」の戦争だ』和賀正樹、現代書館、2015年11月30日初刷)

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