新NISA、どうする?――『投資なんか、おやめなさい』(荻原博子)(1)

来年からNISAをしようと思っている。大半の元サラリーマンと一緒で、僕たち夫婦も、公的な年金だけでは全然足りない。

そのNISAだが、来年から制度が変わって、恒久的なものになる。そうなると、持てる者と持てない者との差が、ますます激しくなっていく。格差はいっそう顕著になる。

日本はこんなことでいいのか、という大所高所に立った(というほどではないが)正論は、まったく聞こえてこない。

それはそれで不気味な感じもするが、とにかく投資に税金がかからないというのは、画期的な話である。

いったい誰が、どういうふうに音頭を取って、そういうことにしたのだろう。自民党の安倍派・二階派の、税金をちょろまかす、後ろめたいキックバックと同じことが、来年からのNISAでは、無税で堂々とまかり通るというのだ。

というわけで、その気になって、ネットの記事など読み続けていると、たちまちすごく儲かるような気がしてくる。
 
毎日毎日、その手の記事を読んでいると、投資した翌年には、直ぐにも億万長者になりそうだ。
 
そういうことで、浮かれていてはいけないから、頭から冷水を浴びるような本を読んでみる。
 
ただしこの本は、NISAが実施される少し前の刊行だから、そのつもりで読んでみる。NISAがあろうとなかろうと、原則は変わらないはずだからだ。
 
そう思って読んでみるが、うーん、本当につまらない。いや荻原博子の本の書き方が悪いのではなくて、書かれてる対象がどうにもつまらないのだ。
 
章タイトルを並べてみよう。

第1章 あなたは、騙されていませんか?

第2章 日銀の「マイナス金利」が、家計の資産を破壊する

第3章 こんなクズ商品には手を出すな

第4章 なぜ「個人年金」はダメか

第5章 投資の「常識」を疑おう

 
ろくなもんじゃない「商品」が、これでもかこれでもかと目白押しで、いささかゲンナリしてしまう。
 
これは荻原博子の本だというので、中は読まずに買った。奥付を見れば、発売ひと月で4刷まで行っている。
 
どんな人が買ったのか。たぶん僕と同じく、おっかなびっくり投資を始めようと思い、しかしその前に、用心するところはないかどうか、と荻原博子に頼ったに違いないのだ。
 
この本自体は全体として、本当につまらない。
 
でもところどころ、いいこと書いてあるなあ、というページがある。たとえば医療保険の場合。

「医療保障は、会社の健康保険や国民健康保険に加入していれば、保険でかなりの金額が出ます。入院で100万円かかっても、3割負担なので30万円。ですが、高額療養費制度があるので、自己負担は一般的な収入の方は月に8万円台。半年入院しても50万円にならないので、生命保険はお守り代わりに入っておく程度でいい人が多いでしょう。」
 
冷静に考えれば、特に長期入院していた僕は、これくらいのことは見通せるはずなのだが、オリックスの若い兄ちゃんが、一生懸命しゃべっているのを見れば、ついつい「備えあれば憂いなし」の考えに傾いて、では入ろうとなってしまうのだ。