意気込んではみたけれど――『2020年 マンション大崩壊』(1)

突然だが、マンションを買うことにした。
 
このまま家賃を払い続けるとしたら、あと20年経てば、持ち家とトントンの出費になることに気づいた。
 
私はいま67歳で、このまま平均寿命まで行くと、あと15年弱で寿命が尽きる。20年は持たないかもしれない。
 
しかし妻の田中晶子は、私より7つも若い。しかも女性の平均寿命は、男よりも6年ほど長い。
 
そうすると、どう見たって妻は、あと25年は生きることになる。
 
それを前提に、賃貸と持ち家を比べれば、中古マンションならいい勝負だろう。かなり古いマンションならば、あるいは持ち家の方が安いかもしれない。
 
もちろん、明日どうなるかはわからない。6年前に脳出血で死にかけた身としては、そんなことはよくわかっている。
 
しかし、また脳出血で運ばれることを前提に、将来を設計するわけにはいかない。当たり前である。
 
もともと私は、持ち家などは金輪際、嫌だった。
 
阿佐田哲也(色川武大)の『麻雀放浪記』の冒頭、東京の現在の繁栄はすべて幻である、戸板一枚めくってみれば、焦土の焼け跡がくっきりと見えている、という文章がある。
 
最近まで生きていた、誰とも交わらぬ戦中派の父のことがあって、私は、一枚めくれば焦土の焼け跡というのを、頑なに信じていた。
 
実は今でも、現代の繁栄など、危ないものだと思っている。マンションでも、とくにタワーマンションなどは、やっぱり砂上の楼閣という感じが、強くする。
 
マンションを買うということについても、つい最近まで考えたこともなかった。
 
それが65歳を過ぎるころから、突然変わった。過去にはこだわらず、とにかく前向きに考えたのである(なにが「前向き」なのかはわからないが)。まことに「一身にして二生を経る」である。
 
それでまず牧野知弘著『2020年 マンション大崩壊』というのを読むことにした。すべてにおいて先憂後楽が肝心である、が私のモットーである。
 
それでまあ、読んでみたのですが、これには頭を抱えましたぜ。
posted by 中嶋 廣 at 14:18Comment(0)日記