今度はノンフィクション――『奴隷労働ーベトナム人技能実習生の実態ー』(5)

もっと、ぞっとするのは、2017年までの8年間に、技能実習生、174人が、死亡していることだ。

日本で働くために、日本語を学び、渡航費用として莫大な借金を抱え、そうして来日したところ、職場でハラスメントや、いじめ、暴力に遭い、しかし転職は、表立ってはできない。これが今の、日本の状況だ。

そのとき、20代の技能実習生は、どこまで追いつめられるのであろうか。そこから「死」の淵までは、あまり距離がないような気がする。

技能実習生は、日本人にとっては、「ひとりの人間」である前に、「一個の労働力」でしかないのだ。

政治家は、票にならないものは、無視してかまわない。けれども、外国人を低賃金で雇う労働市場は、もう完全に、日本の中に形成されている。

この本では、さらに取材を進めて、技能実習生の制度は、やめてしまっても良い、という意見も存在する。

去年の秋に、法改正があって、技能実習生は場合によっては、日本に定住することができ、家族も呼べるようになった。

しかしそれでも、労働環境が変わらなければ、ということは、ある程度の転職が認められなければ、虐げられている技能実習生としては、同じことだと思う。

この問題は、日本の労働人口の激減問題とも、直接リンクする。安倍首相が、憲法などもてあそんではいられない、として、大急ぎで、こちらの法律を改正した意味が、分かるのである。

(『奴隷労働ーベトナム人技能実習生の実態ー』
 巣内尚子、発行・花伝社、発売・共栄書房、2019年3月20日初刷)
posted by 中嶋 廣 at 09:13Comment(0)日記