これからの日本の指針――『ふたつの日本ー「移民国家」の建前と現実ー』(3)

そもそも外国人は、なぜ日本で働くことを選ぶのだろうか。そしていつまでも、その同じ民族や国民が、日本を選び続けるのだろうか。

「日本が外国人労働者に大きく門戸を開いた 1990年前後というのは、日本経済の絶頂期でもあった。発展途上国との経済格差がどんどん開き、円の価値もどんどん上がり、日本で出稼ぎ労働をすることの価値はとても大きかった。しかし、その後の平成という時代は日本経済が停滞した30年間だった。発展途上国との経済格差、賃金格差は一気に縮まっていったのである。」
 
つまり、ブラジルが成長したら、そこは打ち止めになり、中国に取って代わられる。中国が成長したら、ベトナムに代わられる。そうした経済格差をテコにした、外国人送り出し国の変遷は、どこかで飽和して限界を迎える。
 
それはそうだろう。一般に発展途上国の方が、日本よりも速いスピードで、経済成長をしているからだ。
 
いま日本では、ブラジル人や中国人は、ピーク時よりも少なく、アジアの中でも経済水準のより低い国、つまりベトナムやネパール出身の労働者が、増えているのだ。
 
さらに近年、韓国や台湾などでも、外国人労働者の獲得競争が起こっている。
 
また中国も、急激な高齢化が叫ばれ、これから外国人労働者の獲得競争に、乗り出してきそうである。

「今後も日本の経済水準の高さを暗黙の前提とし、ドアさえ開けばいつでも必要とする外国人労働者が入ってくるだろうと考えるのは楽観的に過ぎる。」
 
これは本当に、身に染みて聞くべき言葉である。
 
なぜなら、去年の7月から始まった、日系四世の受け入れが、はかばかしい進展を見せていないからである。
 
ここには、日本政府が理想とする外国人像が、集約されている。

「若くて健康、病院を利用せず、単身で家族を持たず、ある程度は日本語ができ、犯罪歴もなく、社会保障に頼らずとも自分の生計を維持でき、数年以内には自分のお金で帰国していくーーこのリストには現在の政府が理想とする外国人像が投影されているように見える。」
 
結局これでは、底辺労働者である「技能実習生」と、変わらないことになる。

「こうして『理想』の条件を提示した結果は、年間最大4000人の見込みに対して実際の入国者が半年でわずか4人だけというものだった。」
 
日本の経済水準を示していけば、いつでも大丈夫、とはいかないのである。
posted by 中嶋 廣 at 09:18Comment(0)日記