どういうふうに考えるべきか――『コンビニ外国人』(3)

しかし、にもかかわらず日本は、「移民」は受け入れていない。「移民」に関する法制度も、整っていない。
 
そもそも安倍晋三首相が、再三にわたって、移民政策をとることは断じてない、と明言している。
 
この首相の方針を、分かりやすく言ってしまえば、「『移民』は断じて認めないが外国人が日本に住んで働くのはOK、むしろ積極的に人手不足を補っていきたい」、ということになる。
 
これは2016年の、自民党の、「『共生の時代』に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」に、沿ったものだ。
 
この方針は、それまでの鎖国政策を転換させた、画期的なものだった、という。要するに、産業界からの、人不足の突き上げに、自民党が抗しきれなくなった、ということなのだろう。
 
しかしこの中で、「移民」については、実に奇妙な定義をしている。

「その定義とはーー、『「移民」とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受入れは「移民」には当たらない』というものだ。」
 
つまり、入国の時点で、永住権を持っていなければ、その後何年かいて、永住権を取った場合でも、「移民」ではないのである。
 
どうして、こんな奇妙なことになるかといえば、国民の間に、「移民」という言葉に対して、アレルギーがあるからというのが、著者の考えだ。

しかし僕は、これは違うと思う。
 
著者は、「移民」という言葉に対するアレルギーが、一般の国民にあるからだという。近年、ヨーロッパで起こったテロ事件の影響で、移民が増えれば犯罪が多くなり、また雇用の機会も奪われる、と思っている人が多い。著者はこのように言う。
 
僕は、安倍首相を筆頭とする自民党の、特に右派の人々に、「移民」に対するアレルギーが、強いのではないかと思う。
 
そうでなければ、「移民」に関して、実に珍妙きわまる定義は、必要ないではないか。はっきり言えば、安倍首相が、日本会議と仲良くしている間は、この「定義」は何年も続くだろう。
 
それにしても、外国人が日本に住む場合に、最初に問題になる賃貸契約は、どうなっているのだろうか。

「……たしかに新大久保界隈を歩いていると、『外国人OK』『外国人専門』を謳う不動産屋が何軒もある。審査は不動産屋や保証会社によっても違い、中には保証人が不要な代わりに給与明細や預貯金額の提示を求められることもあるようだが、ここ数年で不動産業者の対応もずいぶん変わってきているようだ。」
 
新宿で不動産屋を営んでいる人に、実際にどんなふうであるのか、聞いてみたい。これはこれで、一本の企画になるだろう。
posted by 中嶋 廣 at 16:54Comment(0)日記