これは難しい――『日本の無戸籍者』(1)

著者は井戸まさえ。これは、田中晶子が企画を考えるために、読んでいたものだ。面白そうなので、読んでみた。
 
離婚後、300日以内に生まれた子供は、前夫との子供である、という民法の規定がある。そうではない子供は、300日以内に生まれたら、無戸籍にならざるを得ない。母親は誰の子であるかを、知っているはずである。それで、無戸籍にならざるを得ない。

そういうことは知っていたが、それ以外でも、いろいろな場合があるということが、初めて分かった。

1、出生届を出さず、子供に対するネグレクトや、虐待が疑われる場合。
2、戦争や災害で、戸籍が失われたケース。
3、認知症などで、自分の名前や住所の記憶がなくなってしまい、家を出たまま身元の確認ができない場合。
4、戦争や災害などで、戸籍が焼失したケース。
5、天皇・皇后および後続の場合は、戸籍はなく、「皇統譜」に記される。なお結婚して皇室を出る女性皇族は、夫を筆頭者とする戸籍を作り、そこに入ることになる。新たに非皇族(=臣民)の戸籍に入ることを、「降下する」という。これ、ほんとかね、ばかばかしい!
6、親が戸籍制度そのものに反対で、子の出生届の提出を拒む場合。
  
まあ、ざっと挙げても、かなりいろんな場合がある。
 
もう一つ、無戸籍者になりやすいのは、出生届を出すのに、本人が「届出義務者」になれないという理由がある。
 
出生届の欄には、第一順位として父・母、第二順位としてその法定代理人、三番目は同居者、四番目は医師、五番目は助産婦、六番目はその他の出産に立ち会った者、最後は公設所の長などである。

「ある程度成長した子どもたちは戸籍を持たない不便さを訴えて、自らが手続きをしようと奔走する。しかし、かれらはどんなに望んでも自らの出生届を提出することはできない。」

出生者本人は、出産時の事情を知ることはできないので、自分の出生届を出すことはできない。これは、ひどく無体なことではないか。
posted by 中嶋 廣 at 19:14Comment(0)日記