真っ向から斬り込む――『沖縄報道―日本のジャーナリズムの現在―』(1)

著者の山田健太さんの本は、『3・11とメディア―徹底検証 新聞・テレビ・WEBは何をどう伝えたか―』と、『高校生からわかる 政治のしくみと議員のしごと』を、2013年に出した。

『3・11とメディア』は、これまでに書いたものを集めたのだが、それに手を入れていただくうちに、書き下ろしに近いものになった。
 
東北大地震と、新聞・テレビの旧メディア、WEBの新メディアを扱ったものとしては、まったく類書のない、画期的なものだった。もちろん朝日新聞を始め、ずいぶん書評に取り上げられた。
 
この本では、全国紙から地方紙までの各新聞を、図版として載せたのだが、その際、当該の記事の大きさを、新聞によって縮尺で分かるようにした。
 
たとえば福島の原発の記事を、朝日と読売と東京新聞では、どんなふうに違って取り上げているかを、図版で一目瞭然に、正確に示したのだ。

『政治のしくみと議員のしごと』は、山田先生が旗振り役の監修・執筆をしていただいて、若手弁護士たちや、NPO法人のメンバーなどが、選挙に当てて集中して作った。

これで与党自民党に、一矢報いようとしたのだ。というか選挙を、もう少しまともなものにしたかったのだ。
 
これは、いま問題となっている事柄を判断できるように、憲法、人権、社会保障、財政、安全保障、教育、政治と議会、の7分野を、79のQ&Aで示した。
 
日本社会の仕組みを知り、あわせて議員を判断する基準となるハンドブック、という趣旨だった。

僕には珍しいQ&A、一問一答式の本だが、著者が面白い人たちだと、仕事も面白くなる。そういうものだ。
 
そして『沖縄報道』である。山田さんはここで、二つのことを前提として上げる。
 
一つは、あえて新聞を、主たるテーマに挙げていることである。
 
現代ではインターネットが、報道の主流を占めていて、次がテレビ、ラジオ。新聞は完全に傍流である。実際、僕が新聞記者の話を聞いていても、数年前でも、とにかくみんな、ゆく末は悲観的だった。
 
ところが山田さんは、考え方が違う。インターネット・ニュースは、誰が発信しているのか。

「例えば、グーグルにしろヤフーにしろ、あるいはラインやスマートニュースにしろ、そのニュース提供元の多くは、いまだに新聞社や新聞社が経営上で支えていることが一般的な通信社であるのが現実だ。すなわち『報道』機関としての新聞社は、賞味期限が切れているどころか、そのど真ん中に居続けているということだ。」
 
こうして新聞社は、相変わらず報道の中心にいる。
 
もう一つは、あえて沖縄と、それ以外の日本を分けて考え、「沖縄」と「本土」という対立軸を設定したことだ。この「本土」は、日本の政治の中心である「東京」と、ほぼ同意語である。

「いま沖縄は、日本の民主主義の試金石であるとともに、日本のジャーナリズムが試されている地だ」、というのが山田さんの考えなのだ。
posted by 中嶋 廣 at 18:32Comment(0)日記