高次脳機能障害の親戚か?――『どもる体』(2)

「どもり」は、高次脳機能障害とは、必ずしも関わりはないといったが、じつは関係するところもある。

「……関節を曲げる角度や口の開き具合、あるいは体重のかけ方について、私たちは体の細部にわたって逐一命令を出しているわけではありません。その多くは、体の物理的な構造と習慣の産物による自動化した動きであって、意識的にコントロールされたものではないのです。そうした『体が勝手にやってくれていること』にかなりの部分を依存して、私たちは生活しています。」
 
ところが、「どもり」と高次脳機能障害は、どちらも、身体が勝手にやってはくれないのである。
 
高次脳機能障害は(「私の」と限定した方がいいのかも知れないが)ときとして、まずごっくんと何ものかを飲み込まないと、言葉を発することができない(しかし、そうでないこともある)。

そして、最初の言葉を発するのだけど、これがまた、声の高低が定まらない場合がある(もちろん二言、三言しゃべっていれば、すぐに落ち着くところに落ち着く)。つまり、意識してコントロールしないといけない。

一方、「どもり」は「『たまご』と言おうとしているのに、『たたたたたたまご』になって出てくる。あるいはそもそも最初の『た』が出ない。こんなふうに、思ったのとは違う仕方で、言葉が体から出てくるのです。いわゆる『吃音』と呼ばれる症状です。」
 
しかもこれには、「隠れ吃音」で悩んでいる人もいて、事態はそうとう複雑である。「目に見える症状(バグ系)」と「目に見えない症状(フリーズ系)」の、どちらが出やすいのかが、人によって違ってくるのである。

「多くの人がその両方を持っていますが、バグがよく起こる人がいる一方で、フリーズ中心の人もいる。隠れ吃音の人は、目に見えるバグが起こりにくい人ですが、それでもまったく起こらないわけではありません。」
 
ふーむ、ややこしい。

しかも、吃音がなぜ起きるのかが、まだわかっていない。「遺伝なのか、脳の機能障害なのか、環境的な要因なのか」、そして原因は、一つとは限らない。

でもここでは、吃音の原因探しも、治療法の提案もしない。ただ体に起こる現象として、観察したいのだ。
posted by 中嶋 廣 at 17:49Comment(0)日記