もっと突き進めれば――『人口と日本経済―長寿、イノベーション、経済成長―』(2)

でも、よくできてはいるんだけど、ここら辺が中公新書のヌケのわるさ、というかお高くとまって、あっと驚く爽快感まではとても行きつかない。
 
しかし著者は、「あとがき」で書いているじゃないか。
「出産・育児をもっとしやすくするための『子育て支援』は確かに重要だが、出生率を上げても、それだけで『2065年1億人維持』を実現するのは不可能だ。日本では若い女性が少なくなりすぎたから、たとえ1人の女性が産む子どもの数が増えても、もはや人口減少の趨勢を止めることはできない。」
 
これはどういうことだろう。もう若い女が減り過ぎたので、一人の女性が何人、子どもを生もうと、人口は減少の一途をたどるほかはない。
 
でも、それはおかしい。十代末から四十未満の女性が全員、なにはともあれ、自己実現だの虚栄心の満足だのをおいといて、まず第一に子どもを生む、それも最大限に大勢生むことを目標とすれば、人口減少など止められるにきまっている。
 
そのためには、どうするか。まず、国による手当が必要になる。しかも、子どもの数が多ければ多いほどいいわけだから、手当の支給の仕方も工夫が必要だ。かりに第一子に、成人するまで毎月十万円が与えられるとすれば、第二子に十二万円、第三子に十四万円・・・第十子に二十八万・・・、また未婚の母は、未婚の母の生活費として毎月十万円、別途請求できる。
 
本当に人口の減少が、日本国滅亡の大問題になってくれば、国家予算を組み替えて、このくらいは、やらなければだめだ。防衛予算など、守るべき本体の日本人がいなくなってゆくのに、膨大な額をかけてどうする。
 
まあその辺はいろいろ議論があるだろうが、どちらにしても、「たとえ1人の女性が産む子どもの数が増えても、もはや人口減少の趨勢を止めることはできない」というのを、まず問題にしなければどうにもなるまい。
 
著者もその辺は、どうも分かっているみたいで、やはり「あとがき」にこうある。
「人口減少を本気で止めるならば、決め手はドイツが選択した移民の受け入れである。」
なんだ、分かっているんじゃないか。

「最近の考古学・人類学は、大昔、北から南からさまざまなルートを通って多様な人種が私たちの住むこの列島に移り住んできたことを明らかにしている。歴史が書かれるようになってからも、多くの渡来人(帰化人)が進んだ大陸の文物をこの国にもたらしたことは、学校の歴史で習うとおりだ。」
時間はかかっても、今いる日本人を増やすか、それとも移民を大量に住まわせて、一挙に日本人を増やすか。
 
しかし著者はその前に、人口が減少するから経済成長は無理、という議論の間違いを正したかったのだ。
「これは本書で繰り返し書いたことだが、今こそシュンペーターが説いたイノベーションの役割を思い出したい。」
 
となれば、本書のタイトルは、《人口減少こそが、イノベーションを生み出す》といったたぐいのものしかないだろう。もちろんここから一ひねり、二ひねりが必要だ。でも、やっぱり、「格調高い」中公新書ではだめかな。