もっと突き進めれば――『人口と日本経済―長寿、イノベーション、経済成長―』(1)

これは初めに断りがある。
「本書はあくまでも経済と人口の関係についてのエッセイである。」

そう断っているのだから、編集者たるもの、タイトルを何とかしなければいけなかった。『人口と日本経済』、これじゃあ純然たる「教科書」じゃないですか。でもまあ、この点は最後に考えよう。
 
まず大前提として「日本の人口は2110年に4286万人になる。2015年の人口は1億2711万人(15年国勢調査)だから、これから100年でわが国の人口は約3分の1にまで減少する。」
 
これは2012年に公表された、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口による。だからたぶん、こうはならない。ひょっとすると、さらに急激に人口は減ると思う。あるいは、平均寿命の驚異的な伸びによって、総人口はたいして減らず、巨大な老大国となって、ますます活力は失われるだろうか。

でもまあ妄想はともかく、このデータを元に話を進めていこう。
「過去においても人口の微減はあったが、100年で3分の1というように人口が激減した時代はない。われわれは、これから100年、文字どおり歴史上、人類が経験したことのない人口減少の時代に突入する。」
 
そうすると、日本は人口の減少に伴って、文明衰退の一途をたどるのではないか、というのが大方の不安なのだ。しかし、著者はそうではないと言う。

「人口が減っていく日本経済に未来はない、といった議論が盛んになされるが、これは間違っている。先進国の経済成長は、基本的に労働力人口ではなく、イノベーションによって生み出されるものだからである。」
 
これはもっとありていに言えば、労働総人口ではなくて、一人頭の稼ぎによるものだ。だから、経済におけるハードな技術の進歩にくわえて、ノウハウや経営力といった、ソフトな技術が重要になる。
 
そしてそういうものがあれば、人口減少など恐るるに足りないということで、その実例が説かれている。たしかにこれは、「経済と人口の関係についてのエッセイ」という意味では、まあよくできている。